美しいと思う瞬間はたくさんある。
朝焼けの、刻一刻と移り変わる空。
ふと見上げた夜空の、冴え冴えとした月。
色とりどりの薔薇が揺れる、かぐわしい薔薇園のそぞろ歩き。
海と空の、異なる青が重なる水平線を眺めた瞬間。
子供の、純粋な瞳の光。
愛しく美しいと思う瞬間は本当にたくさんあるが、
私が最も美しいと思う瞬間。
それは、人がその身体で何かを表現した一瞬。
パフォーミングアートがとても好きだ。
マレーシアに住むようになってから、
なかなか観る機会が無くなってしまったが、
結婚前は色々な舞台を観に行ったものだ。
ダンス、歌舞伎、バレエ、演劇、演奏会、ミュージカル
芸術性の高いスポーツ、フィギュアスケートや新体操。
カナダのサーカス、Cirque du Soleilも大好きで、何度も観に行った。
ロックのコンサートも、ここに含まれる。
空間と、光と、音楽、衣装。
そこに人がいて、その人が表現する何か。
それは動きであったり、声であったり、
ひたと据えた視線の鋭さであったり。
その人の身体から放たれたエネルギーと、空間のエネルギーが
ピタッとひとつになった瞬間の、圧倒的な一瞬。
それが、私が最も美しいと感じる瞬間だ。
以前にも書いたが、物が持つ美しさとは違って、
音や動きの美は、一瞬ごとに移り変わる。
どんなに録音や録画で再生したとしても、
それは記録であり、
あの日あの場所、あの一瞬に込められたエネルギーは、
その場でなければ感じられないものだ。
生身の人間が持つ、表現という力。
私が特に、人体を通した表現に惹かれるのは、
人体という極めて現実的な有機体をもって、
眼に見えないもの、感情や愛や美を表すことが可能だからだ。
人には、無限の表現力がある。
こう書いてゆくと、何だかとても高尚で、
ほんの一握りの表現者にしか出来ない、と思われるかもしれない。
私は、美しい表現というのは、
普通に生きている人 誰もが皆、出来ると思っている。
日常生活の中で、
自分が美しいと感じるものを表現することが出来るのだ。
視線で、動作で、表情で。
そして歩き方で。
女性ならそこに、ハイヒールを加えたい。
ハイヒールと共に、日常生活の中で、
自分を表現し続けることが出来たら、
人生は美しい瞬間の連続となる。
人生は舞台。
想いのまま、思いっきり、その生き様を表現しよう。
主役は私たちひとりひとりなのだから。
マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
nana
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