2018年1月24日水曜日

隠す、という美意識

昨日は、おおまかなマレーシア人の美意識と、
日本人の美意識との違いについて書いた。

今日は、特にマレー系女性の美意識について書いてみたいと思う。

というのは、マレー系女性はイスラム教徒なので、
日本の方にあまり馴染みが無い、イスラム女性の美意識を
知っていただくのにちょうど良いと思ったからだ。


イスラム教徒の女性(ムスリマ)と言えば、
おそらく多くの方が、
目だけを出して全身真っ黒のマントで覆われた女性をイメージするに違いない。

頭部を覆うスカーフ。
身体の線を隠す衣服。

こういった衣服を見て、あなたはどう思われるだろうか。
ミニスカートやデコルテが開いた服が着れないなんてひどい。
女性差別だ、と思うだろうか。


もしそうだとしたら、それは必ずしも正しいとは言えない。


もともと髪や身体を隠すムスリマの服装は、
差別ではなく、大切なもの、美しいものだから、
慎ましく覆っておき、
大切な人にだけ見せる。という意味合いだった。

それが、男尊女卑が強い風習の地域や、極端な原理主義の地域では、
強制的に全てを覆う服になってしまった。
だから、全てのムスリマ女性が、服装において抑圧されているとは
思わないでいただきたい。


ムスリマ女性にとっては、人前で髪や身体の線を隠すことが美しいのだ。
仮に私たちが、女性の身体は美しいのだから、
髪を隠さず出しましょう。
ミニスカートで、デコルテの開いた服を着ましょう、と言っても、
それは彼女たちにとって、素っ裸で往来を歩きなさい、と言われるのに等しい。



マレーシアでは、マレー系女性はBaju Kurung(バジュ クルン)という
ストンとしたシルエットのツーピースや、マキシのワンピース、
あるいはパンツスタイル。アラブ風のアバヤ(コートドレス)などに、
スカーフをコーディネートして、自由におしゃれを楽しんでいる。

マレーシア語の「sopan(ソパン)」 慎ましい、礼儀正しいという意味だが、
マレー系女性にとっては、sopanであることが美しいのだ。









ヘアスタイルの代わりにスカーフのアレンジを楽しみ、
身体の線は出さなくても、色や柄でおしゃれを楽しむ。
色柄は南国マレーシアらしい、ビビッドでカラフルなものが多い。

おしゃれをしたい。美しくありたい気持ちは、
マレー系の女性も私たちも同じだ。

見せる美意識と、隠す美意識。


世界には様々な価値観や美意識がある。
異なる価値観に遭遇したとき、私たちはどう対応するか。
そこには愛と知性が必要だと思う。
相手への愛と、相手の価値観を知り、理解し、折り合いを見つける知性。


それこそが、美しい調和を生み出すのだ。



マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana



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