2018年8月4日土曜日

差し出すということ

娘の家庭教師のG先生は
我が家の子供3人が、小学校5-6年生の2年間
お世話になっている方である。



先生は昔、インターナショナルスクールで英語教師をしていたが
白血病の治療のため退職せざるを得なくなり
フリーランスの塾講師となったそうだ。
シングルマザーで、ご主人は15年ほど前に亡くなられた。
そこから女手ひとつで一人息子を育てられた。

私達が先生と知り合った当時、ご自分が白血病であり
現在は治っているが、数年間はなお
経過観察が必要だと仰っていた。



子供たちを教えるのが本当にお好きで
子供の個性を見ながら、教え方も細かく調整してくださる。
そのお人柄を見込んで、最初は英語だけ教えていただいたのを
他の教科も、G先生にお任せすることにした。
それ以来、もう10年近いお付き合いである。




先生はインド系で、熱心なヒンドゥー教徒である。
ヒンドゥー教徒の知人があまりいない私は
授業の後に先生をご自宅まで車で送る道
ヒンドゥー教の色々なお話を伺うのが、大変興味深い。

ボランティア活動を熱心にされていて
貧困層のためのボランティアセンターでも
週1回、子供たちを教えている。

今月は、ご自身が所属されている、ある協会の大きなチャリティイベントがあり
その資金集めに奔走されていらっしゃるとのこと。

なぜ、そんなに熱心にボランティア活動をされるのか
以前伺ったことがある。



「私は病気をして、その時に必死で神様に祈りました。
神様、私には息子がいます。彼の父親は若くして亡くなりました。
私は今 死ぬわけにいきません。
どうか、生きさせてください。って。

そして神様は私を生かしてくださっています。
だから私は、生かされていることに感謝をし
生かされている命を、ほんの少しだけ
人様のために使わせていただいているんです。


私達(ヒンドゥー教徒)はカルマと輪廻を信じています。
ボランティアやチャリティをすることは
カルマを減らすと考えられているんです。
カルマは無くなりはしませんが、
他者のために奉仕することで減らすことが出来る。
そして、他者への奉仕は、結局は自分へ
大きな喜びを齎してくれます。」



私達はともすれば、「何を得られるか」にフォーカスしがちである。
あれが足りない、これが足りない。
どうやったら足りないものを得られるか。

だが今持っているものに感謝し
それを少しでもいいから、他者のために差し出すこと。
そこから愛と感謝の循環が始まる。
先生のお話を伺って、そんなことを思った。




マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana














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