20代の初め頃だったと記憶しているが
街で偶然 美輪明宏さんをお見かけしたことがある。
それも2回。
一度目は新宿。
新宿駅近くの大きな手芸材料店で、アクセサリーパーツを見ていたら
隣に何か黒くてキラキラした塊(?)がグッと入ってきた。
え?と思って隣を見ると、美輪明宏さんだった。
当時は今のように黄色い髪ではなく、黒髪で
ラインストーンが散りばめられた黒いベルベットのロングコートに
ラインストーンの着いたベルベットのバレエシューズを履かれていた。
『美輪さん!?』と、思わずまじまじと見つめてしまったが
挙動不審な私に気が付いたのか、美輪さんが私のほうを見た。
ほんの数秒であったが、その視線の鋭さ、圧倒されるような
感覚は今でも覚えている。
二度目は渋谷。
渋谷パルコの中にあったインテリアショップでぶらぶらしていた時
「ちょっとアールデコ風のデザインなのね。」
という、「あの」声が耳に飛び込んできた。
もしかして?と声のした方を見ると
そこに虹色の塊がいた(笑)
マルチカラーの、虹色ニットのロングコート。
襟元はほぐした毛糸がフサフサとあしらわれていた。
そして足元は、虹色のマルチカラーのスパンコールの靴が
キラキラと輝いていた。
その時は真正面から目が合ってしまい
じっと正面から見つめられた。
こちらを見透かすような、深く鋭い眼差しだった。
美輪さんは著書の中で
「昔の映画スターは、画面に出てきた瞬間「出たー!」という感じだったものです。
それだけ強いエネルギーと、華があったのです。」
と仰られている。
そのお言葉通り、美輪さんご自身が
まさしく「出たー!」という雰囲気で(笑)
人というより、なにか強いエネルギーの塊がそこにいた。
オンとプライベートで、雰囲気が全く違う芸能人もいるが、
美輪さんは、テレビや雑誌などで見る美輪さんと全く同じであった。
こちらが挙動不審だったためか、グッと睨むような視線で見つめられ
二十歳そこそこの小娘だった私は、その目力に負けて
とうとう声をかけることが出来なかった。
今思えば、もったいない話である。
コンサルティングで、カリスマ性の構築というプログラムがある。
私はその時、ロールモデルとして、美輪さんを揚げた。
あの、グッとこちらを見据えた視線が
今でも忘れられないからであった。
私が美輪さんをお見かけしたたのは、今から30年ほど前。
よく考えれば、当時の美輪さんは、今の私と
大して変わらないお年だったはずだ。
同じくらいの年齢でも、あの目力には程遠い。
人生経験が比べ物にならないのは100も承知だが
ほんの少しでも、美輪さんの目力に近づけるようになりたい。
今度、街でばったり遭遇したら
堂々とお声がけしてみようと心に決めている。
その時は、美輪さんの目力に怯まないことも決めている。
マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana
歩いている時の自分の姿勢や
威厳に対しての気配りがなさ過ぎるのは
日本人の特徴です。
(著書 『天声美語』より)
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