2018年12月26日水曜日

凍てついた銀の薔薇 La fille de Berlin

日付が変わってしまったが、昨日はクリスマス。
マレーシアは祝日であった。
常夏のクリスマスの事を綴ろうかと思ったが
La son de la Merの海音さんからの
素晴らしいクリスマスプレゼントを拝聴し
何か美しいものについて綴りたくなった。






その世界観だけで、たまらなく手に入れたくなる物がある。
実用性だとか、コストパフォーマンスなどという陳腐な言葉を
歯牙にもかけず、ただ その世界観で、強烈な引力を放つもの。

Christian Louboutinの靴などは、間違いなくそういう物であるが、
もうひとつ、私が長年惹かれてやまない世界観が
Serge Lutensの香水であった。




La Fille de Berlin



いにしえのベルリン。幻想の都市。
ディナージャケットを着てたたずむ少女の姿。
彼女は棘を持つ花。干渉しない方たいい。
雪の上、銀色の薔薇が放つ慰めと情熱の香り。
- Serige Lutens Web Siteより-






雪と銀色の薔薇と真っ赤な香水
このヴィジュアルに出会った時の衝撃は忘れられない。
血のような、芳醇なワインのような
官能的な赤い香水。
何と美しいヴィジュアル!



白と赤と銀 それにラベルの黒
それは私が愛してやまない、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画
The Damned (邦題:地獄に堕ちた勇者ども)を彷彿とさせた。

こちらの映画については、いつか綴りたいと思うが
ドイツ版「華麗なる一族」とでも言うべき
ナチス台頭期のドイツを舞台にした
鉄鋼王一族の崩壊の物語である。

栄華と崩壊 絹のドレスと軍服
宝石と銃弾 そして死

当時の私の大好物だった、退廃の美学がたっぷりと詰め込まれた映画であり
その映画と香水のヴィジュアルが強烈に結びつき
いつか絶対、この香水を纏ってみたい。
そんな憧れの香水となったのだった。




だが「気体の宝石」と呼ばれる
Serge Lutensの香水は ハードルが高く思われ
憧れは憧れのまま、時間だけが何年も過ぎた。

もとより私は、嗅覚障害であり
香りが分からないのだから どんな香水を付けても
自分では合っているかどうか分からない。
だから何を付けても良さそうなものだが
私は知っていた。
今のままの私では、Serge Lutensの香水に負けると。



10月の東京
Christian Louboutinの靴を迎えた数日後。
Louboutinの靴に合う香りは、この香りしかない。
そんな直感のもと、やっと長年憧れた香水を手に入れた。

LoubiutinのハイヒールとLa Fille de Berlin
私にとってはこれ以上無いほど
完璧な美しい取り合わせである。
美しくも厳しく、私たちに相応しいお前になりなさいと
容赦なく渇を入れられている。

凍てついた銀の薔薇と情熱の赤い液体
私が手にするなら、それは繊細な銀ではなく
銀と見紛うほどに磨きぬかれた鋼鉄の薔薇かもしれない。





「地獄へ堕ちた勇者ども」と退廃のイメージを綴ったが
実際の香りは、薔薇をベースにしながら
すっきりと、ユニセックスですらあるらしい。
らしい、と言うのは人様からいただいたコメントが
そのようなものだからなのだが。

(ちなみにこの香水をつけ始めてから
男性からコメントをいただくことが増えた。
男性から香りについて誉められるのは、私史上前代未聞なのである。)


ああ、だからLa fille <少女>なのか。
大人の女性のように咲き誇る豪華な薔薇ではなく
時に少年にも見えるような少女のような、すっきりとした冬の薔薇。

少女のイメージの香水に、官能的な赤色。
この、一種背徳的な組み合わせを持ってくるとは
Serge Lutens氏は、素敵に変態なムッシュに違いない。



La Fille de Berlinを纏うようになって以来
もはやこれ意外は考えられず
他の香水を全て処分してしまった。
人も物も同じように、エネルギーが強い方が勝つのである。






マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana





                                                     Monsieur Serge Lutens






































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