2018年7月10日火曜日

パートナーシップについて思うこと

接客業という職業柄、仕事を通じて色々なご夫婦とお話をする機会がある。

お話と言っても仕事上の事で、ほんの短い間のことではあるが、
実に様々なご夫婦がいらっしゃるなと、貴重な人間観察のチャンスを与えていただいている。

温厚で礼儀正しく、仲が良さそうなご夫婦を見ると、こちらの気持ちも温かくなり
逆に私の目の前で喧嘩を始めてしまったご夫婦もいらっしゃった。



その中でも、私がいつも、内心「それはないでしょう。」と思うパターンがある。
それは、60代くらいのご夫婦に多いパターンなのだが
奥様に全てをやらせて、ご主人が黙ってふんぞり返っているご夫婦である。

そして、そういうご夫婦の場合、必ずと言っていいほど
何かもたつく事があったり、奥様の手際が良くないと
私の目の前にも関わらず、ご主人が「何やってんだよ。」とか「バカ」と
奥様に向かって言い放つのだ。



そのような男性に遭遇するたびに、私はこっそりと心の中で
『奥様、構う事はありません。
今日ご帰宅されたら、ご主人の服を下着まで一枚残らず切り刻んでおしまいなさい。』
と、呟くことにしている。

そのような男性は、所詮奥様がいなければ、自分の下着の在処ひとつ分からないのだから。

人様のことなので、とやかく言うつもりはないし
実際家庭で何が起きているのか、私には知る由はないが
少なくとも人前で自分の妻に向かって、悪し様に言い放つような男性はいかがなものか。


日本人は人前であまり身内を褒めないと言うけれど
せっかくご縁あって夫婦になったのだから
少なくとも人前で罵倒するようなことはしないでいただきたいと思う。


また、妻の側も、そんな扱いを受けたら、きちんと
「では、あなたがなさってください。」
と意思表示をしていただきたいと思う。

封建時代の昔ならいざ知らず、今の時代なら何でも黙って聞き入れる必要は無い。
理不尽な事には、たとえ夫婦であっても Noを言っていただきたいと思う。


そんなご夫婦とは逆に、穏やかに支えあうご年配のご夫婦にお会いすると
こちらも、ほっこりと暖かな気持ちになる。

以前、一度だけお会いした年配のご夫婦は
ご主人が全てを取り仕切り、奥様がなさった事は
ペンを取ってサインをする事だけだった。

その時、奥様はまず、ご主人に向かって微笑んで
「ありがとう。」
と仰り、それから私に「ありがとうございます。」と仰ったのだ。


まず、一番身近な夫に、自然と「ありがとう」が言えるのは
普段からそのようにされているからだろう。

帰り際、ご主人は階段のところで、自分が一段先に降りて
奥様の為に手を差し出されていらっしゃった。

その姿が、私には王子様のように見えた。
きっとこのご夫婦は、普段からお互いへの感謝と共に
過ごされていらっしゃるのだろうと思った。

仲良く手を繋いで帰られる後姿を見ながら、
素敵なご夫婦にお会いできたことを、幸せに思った。



夫婦は、もともとは他人である。
他人同士がひとつ屋根の下に住むのだから
それはそれは、色々なことがあって当たり前だ。

色々なことがあっても、それを乗り越えて
死が訪れるまで一緒にいる夫婦もいれば
ある時を区切りとして、それぞれの道を行かれるご夫婦もいらっしゃる。

どちらであっても良い
ただ私は、せっかくご縁あって夫婦になり、家族になったのだから
たとえ夫婦と言えども、お互い敬意を持って接して欲しいと思うのだ。

一番身近な人である配偶者
身近だからこそ、頭に来る事も沢山あり
感情のしこりが溜まりやすい。私もそうだ。

それでも、一番身近な人に、あえて意識して感謝や敬意を伝える。
女性が美しくあるためにも、とても大切なことである。
間違っても、女性同士のおしゃべりの最中に
「うちのバカ亭主が。」などと口走らないこと。

そう言っている時の女性の表情は、お世辞にも美しいとは言えないからである。


マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana













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