日曜日は娘と二人で、クアラルンプールのIslamic Art Museumへ行って来た。
正直、クアラルンプールの美術館、博物館のレベルはまだまだなのだが、
こちらの美術館はその中では群を抜いてレベルが高い。
世界各国のモスクのミニチュア、
12世紀ごろからのコーランの数々、
世界各地のイスラム地域の民族衣装など、
日本人にはあまり馴染みのないイスラム世界の歴史とアートが学べる、
貴重な場所である。
イスラム様式の建物は広々としていて、カフェもあるので、
暑さを逃れて、ゆっくりと読書をしたり思索に耽るにはぴったりの場所である。
ホールの一角に、「Syria Yemen Iraq:The Risk of Forever Being Lost」と題された
ミニ写真展が開催されていた。
シリア、イエメン、イラクの各地で、空爆により破壊された街とモスクの写真展であった。
空爆前の美しいモスクや生活感溢れる町並みと、
空爆後の、ドームが崩れ落ち、無残に崩壊したモスクと、一面の瓦礫の街。
蜂の巣のように銃弾の跡が残る建物。
歴史的に価値ある建造物も、人々の生活も、
全て無残に破壊された街。
あそこに住んでいた人々はどうなったのか。
写真を見ながら、胸が痛んだ。
遠い昔の話ではない。ほんの数年前に起きた事なのだ。
そして一部の地域は今もなお、戦闘が続いている。
イスラムと言うと、テロリストのイメージが強く、
恐ろしいと思う日本人が多いかもしれない。
しかし、大多数のイスラム教徒は、平凡な、普通の市民なのだ。
イスラムだから、○○だから、ではなく、
どの国であっても、戦争は破壊と恐怖と憎悪しか生まない。
だからこそ、世界には美が必要だ。
美が生み出すものは、創造であり、
魂の高揚と心の潤いであり、愛である。
そこには国も、人種も、宗教も関係なく、
時空さえも超える力がある。
美は人間だけが持つ概念であり、もしも美が無かったら、
人間は動物と何ら変わりがないのだから。
美しいものを美しいと感じる心があれば、
破壊を好んだりはしないだろう。
テロや戦争が続く今だからこそ、世界には断固として美が必要なのである。
マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana
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