2018年8月16日木曜日

祈りの日(8月15日に寄せて)

今日は8月15日
73年目の終戦記念日である。

職場の事務室でつけているNHKで
当地時間の午前11時に戦没者追悼式の模様を中継していた。



私が初めて夫の母と会った時
彼女は「子供の頃 日本の歌を習ったよ。」と言って
♪身よ東海の空明けて♪
と、「愛国行進曲」を歌いだした。
私は何と言っていいか分からず、曖昧に笑うしか出来なかった。




マレーシアは戦時中1941年から1945年の間、日本軍の占領下にあった。
それはマレーシアの国民にとって、暗い時だった。
私の夫の父母、そして親戚の多くは、ケダ州アロースター出身だ。
戦時中アロースターにあった飛行場は、日本軍に接収され
夫の父は戦闘機の整備工として徴用された。

町の食料は全て日本軍に差し出さねばならず
住民はわずかな配給に頼るしかなかったそうだ。
幸い夫の父は、アロースターに駐屯していた日本軍の士官に気に入られ
軍用の食料を分けてもらったりしたという。
アロースターに住んでいる夫の叔父、叔母は当時のことを
覚えており、「○○さん(士官の名前)は良い人だった。」と言う。

だが同時に、マレーシアでは中華系を中心として
抗日運動が起こっており、抗日活動に参加した住民には
苛烈な弾圧が与えられた。

町の小学校では日本語が教えられ
義母が歌った歌も、その時習ったものだ。




終戦と言われても、私自身戦争を知らない世代だし
平成生まれの若い方には、なおピンと来ないかもしれない。
だが、何百年も前ではなく、私達の父母、祖父母の時代に
世界中で多くの尊い命が失われる戦争があった。

誰が悪い、どの国のせい、と非難し続けるのは簡単だ。
だが、非難しても失われた命は戻らない。
今を生きる私達に出来るのは
歴史から学び、犠牲になった人々のために祈り
未来に何が出来るか考えること。
そして次の世代のために、自分が出来ることを
粛々と行うことだと思う。




今も、世界の各地で、紛争や内戦や戦争がある。
最近では無差別テロも頻発している。
それらは決して、遠い国の出来事ではない。

戦争からは何も生まれない。あるのは破壊のみ。
そして戦争は、美しいものを破壊する。




美は心に潤いと余裕と、優しさを齎す。
心に潤いのある人は戦わない。
戦わない人が集まれば、戦争にはならない。
子供のように単純な思考であるが、私は本気でそう思っている。

だからこそ、私達は美を忘れてはならない。
美しいものを美しいと言える世の中を守らねばならない。




この世を動かす法則は、憎しみや争いではなく
愛と美こそが唯一の法則なのだから。





マレーシア クアラルンプールより愛を込めて
Nana

















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