如何なる時もエネルギーを保つ

声のエネルギーの威力で綴ったが、ハプニングが起きた時こそ

いかにエネルギーを落とさず保つか、が重要である。

先週もまた、ハプニングが起きた。

ある許可証を更新しようとしたのだが、今年からルールが変わり

更新前に健康診断を受けなくてはいけないことが分かった。

許可証の期限が切れるまで,あと3週間

健康診断の結果が出るまで、確か2週間くらいかかる。

何かにつけてスローなマレーシア。
冷静に考えて、ギリギリの危ないタイミングであった。

しかも、健康診断の申し込みはオンラインで出来ず

事務所に出向いて登録しなければならない。

これは結構ピンチかもしれない。と青ざめて急遽仕事を休み

翌日、朝一番で登録事務所に駆け込んだまでは良かったのだが

大きな落とし穴が待っていた。

登録手数料を現金ではなく、バンクドラフトで用意しなければならないのを

すっかり忘れていたのだ。

あいにく、事務所が入居しているビルの中にも、近所にも

銀行は無く、車で10分ほど離れた銀行まで行かなくてはいけないという。

クアラルンプールは、朝の渋滞がひどく
銀行への往復だけで

軽く1時間は時間のロスになることが予想できた。

頭を掻き毟りたいのをグッと堪え、とにかく銀行へ行かねばならない。

頭の中では、午前中に用事すませたかったのに、とか

また休み取るの嫌だなあ、許可証更新が間に合わなかったらどうしよう

という不安が渦巻いている状態であった。

が、とにかく、銀行に行ってバンクドラフトを作らないと登録が出来ない。

がっかりしながら、駐車場に行きかけたその時

先日のモニターレッスンの時のことを思い出した。

ハプニングが起きた時こそ、不安や怒りや焦りなどに

引きずられてはならないのだった。

その場で深呼吸をし、深く息を吐いた。

そして「絶対大丈夫」と声に出して呟いた。

その時、ビルの総合受付の女性がふと目に入った。

「もう一度聞くだけ聞いてみよう。」

そんな気になり、受付の女性に

バンクドラフトを作りたいのだが、銀行はこの近くに無いか、と尋ねてみた。

するとその女性は、許可証のためかと聞いた後

「許可証のためのバンクドラフトなら、2階に売ってる人がいるわよ。」

と言うではないか。

売ってる人？売ってるってどういうこと？

バンクドラフトは銀行でないと発行できないのに？

一瞬言われたことが理解できず、疑問符が頭をグルグルしたが

とにかく彼女に聞いたとおり、２階に行ってみた。

果たして、バンクドラフトがあったのである。

種を明かせば、あらかじめ何枚かバンクドラフトを用意して売っている
ダフ屋？のような、闇銀のようなお兄さんがいたのだ。
私のような者がウロウロしていたら

こっそりと「バンクドラフトあるよ。」と持ちかけて商売成立。

もちろん、本来はしてはいけない事である。

なるほど、上手い事考えるなあと思った。

一日のうち、何人かは必ず、私のようにバンクドラフトを用意していない人が

いるに違いない。

多少手数料が上乗されていても、銀行まで行く労力を考えたら

このお兄さんのご厄介になったほうが、時間を無駄にせずに済む。

需要あるところにビジネスあり。

件のお兄さんは、本業のエージェント業の傍ら

お小遣い稼ぎにバンクドラフトを売っているようであった。

いかにもマレーシアらしい、「マレーシアあるある」な商売である。

一事が万事、日本のようにきちんとしていないマレーシアだが
きちんとしていないからこそ、思いがけない抜け道があったりするのだ。

使える物は何でも使え。
裏技ではあるが、有り難くお兄さんのお世話になった。

かくして、銀行に行かずにバンクドラフトを手に入れて

無事申し込みをすることが出来たのである。

そして、今日、全ての手続きが終わり、無事許可証が更新できた。

もしあの時、不安や焦りに引きずられていたら

焦って動いたにも関わらず、更なるハプニングが重なったかもしれない。

それを、深呼吸をし、あえて「大丈夫」と口にしたことで

エネルギーの流れが変わったと思う。
その直後に受付の女性が目に入り、彼女に尋ねたことで
無いはずのバンクドラフトが突如として現れたのだから。

嘘のようだが、最近自分の経験として納得するようになった。

如何なる時もエネルギーを落とさない。

もしも、信じ難いと思われる方がいらっしゃったら、

ぜひ試してみていただきたい。

エネルギーは、強いほうが勝ちなのである。

マレーシア　クアラルンプールより愛を込めて

Nana